システム開発者の宅建士試験対策

宅地建物取引士、通称宅建の試験で得たノウハウのまとめ。システム開発者向けの情報共有。

2022年に不合格、2023年にぎりぎり合格した。

1.どんな試験か

意義関連

直接的には、以下二つの意義がある。

  • 不動産の売買・仲介時の宅建士以外NGな業務が出来る
  • 不動産業を営む会社は事務所に一定割合以上の専任の宅建士登録が必要。この頭数になるのに必要

システム開発者にとっては、不動産業界の人と同じ専門用語で会話出来るのが大きな意義と思う。

他には、不動産業界の業務理解や、どんな部分にどういうレベルで気を付けなければならないかの理解に役立つ。つまり、不動産に関わるシステム要件・設計の勘所理解促進に繋がる。しかし、広範囲な宅建士試験範囲のうちほんの一部の話である。

点数関連

  • 1問1点とすると50問=50点満点。全問が4つの選択肢問題
  • 50問の内訳は権利関係(民法)14問、法令上の制限8問、税その他3問、宅建業法20問、免除科目5問
  • 5点免除の制度がある。「宅地建物取引業に就いている」「従業者証明書を持っている」条件を満たしていれば、国土交通大臣指定の講習受講→合格で5点分の問題免除となる。具体的には上述の『免除科目』5問(46~50問目)が正答の扱いとなる ※試験時間は10分短縮される
  • 合格人数を調整するタイプの試験で、合格点数は毎年異なる。2023年は36点合格だっだが38点合格の年もあり、合格点数には幅がある。40点取れば安全圏と言われるが、合格ラインは緩やかに上昇傾向のため絶対とは言えない

設問関連

  • 過去問と似た問題が出題される。しかし全く同じ問題は出題されない
  • 毎年一定時期までの法改正を取り込む。新しい法改正は試験に出易いため要学習。また、今の法律うでは回答が合わないという過去問があるので過去問での学習時は注意が要る

2.学習時期の対策

問題・解説の専門用語

最初は専門用語に躓きやすい。特に権利関係(民法)はぱっと分かりづらい言葉なので、最初から厳密な知識を付けるタイプ、法律文言を直接読ませるタイプのテキストで学習しようとすると用語が難しくて理解に時間がかかる→モチベーションが下がる→詰む。

個人的なオススメはモチベーションを維持し易い以下の流れ。

  1. 宅建関連の解説動画で簡潔にイメージを付けてる ※YouTubeで「不動産大学」を検索
  2. 読みやすい本で全体的な知識の強化 ※滝澤ななみさんの「20XX年度版 みんなが欲しかった! 宅建士の教科書 みんなが欲しかった! 宅建士シリーズ」を検索
  3. 過去問で学習 ※「宅建試験ドットコム 宅建試験過去問道場」を検索
  4. 「今年の法改正」を動画学習 ※YouTubeで「不動産大学 法改正」を検索

学習順序

スケジュールに余裕があればまず権利関係(民法)から学ぶとよい。理由は以下の通り。

  1. 宅建業法は民法を補完する形で出来ているため、民法が前提。この順で学ぶと混乱を避けやすい
  2. 民法は用語が難解でケース・バリエーションが多く初回学習・理解に時間がかかるが、論理的で暗記が少ないためシステム開発者にとっては記憶に残り易い想定

宅建業法は短期間の学習で最も点を上げやすい

法令上の制限は学ぶ範囲が広く数値系の暗記が多い割に設問数が少ない⇒タイパが低い

結論的には以下の順がオススメ ※模試で得点を見ながら調整すると◎

権利関係(民法) ⇒ 宅建業法 ⇒ 法令上の制限 ⇒ 税その他 ⇒ 宅建業法

膨大なバリエーション

一通りテキストで知識を付けたら、過去問をたくさん解くこと。

目安としては一通りテキストで知識を付けるのと同じ期間以上過去問学習が要る印象で、4月から勉強するなら4~6月で知識を付けて7~9月が過去問⇒10月に本番 となる。

理由は設問のバリエーションが多すぎるから。例えばテキストで「民法の消滅時効について学んだぞ」と思っても、テキストに載らない過去の判例から問題が出てきて全く解けないというようなことを多々経験するはず。

上述のスケジュールでやっても、9月に『こんな問題初めて見るぞ。。。。』というレベルなので、計画的にバリエーションをこなすべきだ。

問いに合わせた回答の仕方

僕は知識は付けたはずなのに模試を受けても30点くらいで伸びない時期があり悩んだ。

改善点は問題文読み込みの浅さだった。

宅建の世界で「Aは18歳以上のときCをDできる」が正しいか判断する時、

AがA’さんでは誤りだし、18歳以上の部分が20歳以上でも誤りになる。同様にC、D部分も部分的な嘘・省略が紛れていたら誤りと判断することになる。大は小を兼ねる的な考え、途中まで読んで合ってるっぽいから正解という判断は誤りの元となるのだ。

問題文は頭からしっぽまで読み込み、選択肢も一つ一つ文章の中身を精査して正しいか誤りか判断する癖をつけよう。

5点免除受講

不動産業に従事する人だけが使える制度で、受講済みの番号を添えて受験申込すれば45問を学ぶだけで済む。条件にあう人は余程のことがなければ5点免除をオススメする。

※絶対に5点免除の受講中に寝てはならない!

例外として、以下に当てはまる人は5点免除を受けない手もある。学習済みで早く正確に免除科目をとけるなら早く終わった分を見直し時間に充てられるの理屈である

  • 見直しの時間をなるべく多く確保したい
  • 元々学習済だから10分以内に免除科目5問を5点を取れる

3.試験日の対策

環境的な整備

終盤は試験対策に集中するため、地味に抜けやすいのが環境を整える対策。

場所・時間

試験案内には何時から試験会場に入れるか書いてあるので、立ちんぼにならない程度に早めに試験会場に付いておこう

お手洗い

試験時間中にトイレは大きな痛手となる。絶対試験時間中にトイレに行かなくて済むよう寒くて腹痛・食べ過ぎて腹痛は避けよう。そのためには防寒対策は必須で、体質によっては昼食抜きの方が無難かもしれない。

後ろから解く

設問の頭の方にある権利関係(民法)は専門用語で長文な傾向があり、論理的にじっくり考えないと答えが導けない。

問題順に回答すると、最初にこの壁があるため後半時間が足らない・頭が疲弊して回答精度が下がると陥りやすい。感覚的には税が最も簡単で次点で宅建業法だが、回答箇所を間違えるリスクがある。

深く考えず設問を後ろから回答していくとシンプルでやり易い。

答えられる時点で回答

正しいものを答える問題なら、正しいものが見つかったか、誤っているものが3つ分かった時点で回答出来る。どつぼにはまって時間が足りなくなるリスクを考えると、さっさと答えてしまって後で見直しする時間を確保⇒残りの選択肢を読み直す方式が良い。

回答中の判断メモ

前項と関連することだが、正しい・誤っていると判断した選択肢は必ずメモしておくこと。見直しの時にその問を優先して見直すかスキップするかの指標になるからだ。

※後で自己採点するために回答結果も問題用紙にメモし、見直し時に回答を変更する場合は変更をメモしておくこと。

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